このページでは、低学年の勉強法について解説します。
小学1~2年生の子どもがいる保護者向けの記事になります。
個別指導15年の経験をふまえてお話をさせていただきます。
低学年の勉強法はシンプルに
結論からいうと、、、
- 教科書の音読
- 教科書のなぞり書き
- 教科書クイズ
をすればokです。
「えっ、これだけ」と思うかもしれませんが、低学年にはこれで十分。
最大の目標は、「家庭学習の習慣化」です。
親が焦って、先取り学習させたり、難しい問題をとかせたり、何時間も強制的に座らせてると、勉強そのものが嫌いになりかねません。
人間には、勝負すべきタイミングが必ずあります。
小学校の低学年は、まだその時期ではありません。
「家は勉強する所でもあるんだな」と認識させるだけにとどめ、子どもの興味関心にあわせて、自由にやらせてあげるほうが何倍も重要です。
あとから大きくジャンプするための、基礎土台を作るのが時期だとお考えください。
「自学自習」の基礎作り
最終的には、子どもが目標を決めて勉強の計画を作り、自ら学ぶ状態(自学自習)を目指します。
ただ、いきなり低学年にそれを望むのは厳しいです。
なぜなら、思考の場である脳の前頭葉が育ってないからです。
なので、ある程度の行動リストを親が作ったり、可能な限り子どもの横でサポートしないといけません。
【予習はいらない】復習だけ
授業の予習はいりません。
テストは教科書からしか出ない
「教科書が大事」という考え方は、中学、高校で必ず生きてきます。
中学で成績が良い子、地域のトップの高校に入る子は、みんな教科書を勉強の中心においてます。
「テストも入試も教科書からしかでないんだから、それをみっちり勉強するほうが効率が良い」という真理を、感覚的に理解してるのです。
勉強ができない子ほど、教科書を大事にしません。
通信教育のテキスト、塾のテキスト、書店で販売されてる参考書
いろいろ持ちすぎて、何がなんだか分からない状態に追い込まれます。
もちろん、教科書を理解するための補助として他のテキストを持つことは否定しません。
ここで大事なのは、教科書を軸にする習慣を低学年のうちにつけるということです。
教科書の音読
授業にあわせて、「今日はこの部分を音読しよう!」と保護者が範囲を決めます。
国語だけでなく、算数の教科書も音読させてください。
教科書のなぞり書き
手を動かすと記憶しやすくなることが分かってます。
なので、教科書を音読させたら、読んだ部分を鉛筆でなぞらせてください。
事前に教科書を、コンビニなどでコピーしておきます。
最終的には、教科書をみながらノートに写せるようにします。
低学年のうちは、なぞり書きを中心にしながら、何回もなぞったものはノートに写す形にすると良いでしょう。
なぞり書きは文字だけでなく数字、場合によっては絵やグラフも可能なかぎりさせてください。
教科書を1ページずつ写真におさめるイメージで進めてください。
プリントには、必ず勉強した日付を大きく書かせてください。
そして、やり終わったプリントも捨てずに残しておいてください。
保護者としては、処分したいところでしょうが、がんばった記録として視覚化させてほしいのです。
できれば、一年分を保存&たばにして、子どもに見せてあげてください。
こんなに自分はがんばったんだという達成感と自信は自己肯定感をたかめ、
大きなジャンプができるようになります。
プリントのたばは、学年があがるときに処分してかまいません。
ただし、そのプリントのたばを写真におさめておいてください。
子どもとプリントのたばが一緒になる構図でピースさせると良いですね。
教科書クイズ
教科書の音読となぞり書きが進んできたら、教科書からクイズを出してください。
ある程度勉強した内容から出すようにしてください。
これは毎日の学習内容にくみこまなくても良いです。
例えば週末は「教科書クイズ」だけをやるのでもかまいません。
はじめは保護者が問題をだす側で、子どもが答える側。
慣れてきたら、親子で交互に問題をだしあってください。
クイズ形式にすると、子どもが燃えてくれるメリットがあります。
しかし、それだけが教科書クイズの目的ではありません。
教科書からクイズ問題を作る習慣が、中学や高校の勉強に生きてくるのです。
「テスト」効果と呼ばれ、実験でも証明されてます。
読むだけの復習に時間を使うよりも、テスト形式で復習したほうが成績がよくなるのです。
読むだけだと、受け身の勉強になります。テスト(クイズ)形式だと、考えようしますよね。
この積極性がとても重要なんです!
脳は、忘れたころに思い出そうとすると、「重要な情報」と認識して記憶しようとすることが分かってます。
頭の良い子はクイズ好き
中3生模試の試験監督をすると、よく見かけた光景があります。
成績はトップクラスの子達が、休み時間にお互いに教科書から問題をだしあってます。
ふつうの文章部分はどちらも簡単に答えるので、もはや重箱のすみをつつくレベルまで出し切ります。
それでも勝負がつかないのですが、もはや勉強を楽しんでるとしかいいようのないレベルです。
低学年のうちに教科書クイズに慣れさせて、高学年にはノートをひろげて自分で問題を作れるレベルにするのが理想です。
まとめ
本人の努力をほめることが大事です。
プリントに大きな花丸を書いてあげましょう。
赤ペンよりも太めの赤鉛筆のほうが、温かみが伝わるのでオススメです。
低学年のうちは、教科書の音読、なぞり書きは国語と算数で十分です。
3年生からは理科や社会も対象に加えてください。
学校の授業はそれほど早く進みません。
なので、同じページを複数回数、音読したりなぞり書きする余裕はあります。
何回もやらせることで、知識は定着しますので、コピーするときは同じページを何枚か準備しておいてください。
2日連続で同じページを課題にするパターンもありですが、ときには前にやったページに後戻りしましょう、
同じものを連続でやると、飽きてしまう子もいます。
この「飽きる」という感覚、実は記憶の面からいうとかなりマイナスなんです。
脳は大事だと思うものだけ記憶します。
飽きてる状態というのは、脳に重要度が全然伝わってないので、記憶されにくいのです。
やったばかりよりも数日前のものを再度トライさせたほうが、脳は思い出そうとするので記憶されやすくなります。
同じものを連続でやるメリットは、「昨日よりも上達してる自分」を感じやすくなる
ということです。
これはこれで、やる気アップにもつながるので効果があります。
大事なのはバランスなので、子どもの状況にあわせて課題を変えてみてください。
低学年の勉強時間
家でどのぐらい勉強させればよいのか?
目安がほしい人も多いと思います。
「学年×10分」と良く言われますが、あくまで目安です。
「低学年のうちは勉強時間」にこだわらないほうが良いです。
集中や成果ではなく、「時間」だけを意識して勉強するクセがついてしまいます。
集中してない60分よりも、集中して10分勉強したほうが良いです。
低学年のうちは、「毎日勉強する」ことに集中してください。
なので、子どもの気分がのらないのであれば1日5分で終わっても良いです。
時間に関係なく、勉強したら赤丸をカレンダーにつけて努力を視覚化させてください。
いつ勉強させるの?
ふだんの行動と勉強をセットにしてください。
例えば、
- 学校から帰ってきたらすぐ勉強
- おやつを食べたら勉強開始
- 遊びから帰ってきたらすぐ勉強
なんでも良いです。
学校から帰ってきたら。ぐったり疲れてる子もいると思います。必ず「帰宅後すぐ勉強」とルール化しなくてもokです。
課題が早く終わっても追加はナシ
課題が早く終わったら、別の課題を追加するのはNGです。
「がんばったら、量が増やされる」と間違った認識をすると、がんばらなくなります。
課題の持ち越しはナシ
体調が悪いなどで、今日の課題ができない日もでるかもしれません。
そんな日は、翌日に持ち越しはしなくてokです。
量が増えてしまうと、やる気がなくなる子もでてきます。
ただし、自分で勉強計画をたてられるようになったら、
計画には必ず予備日をいれさせて、できなかった分はソコでやるという習慣をつけさせてください。
宿題とわけて考える
基本的には、学校の宿題と自主学習は別々に考えたほうが良いです。
宿題は、その子にカスタマイズされたものではないので、宿題だけやっておけば大丈夫というわけにはいきません。
やはり、保護者が授業の進度にあわせて、子どもの理解度を確認しながら随時対応する姿勢が必要です。
読書を習慣化させる
「教科書の音読、なぞり書き、クイズ」で家庭学習は終了ですが、この他に重要なのが「読書」です。
家で本を読む習慣をつけることも、低学年では重要です。
ここでいう本とは、物語、説明文、図鑑を指します。
ノー勉でも、国語の点数がとれる
子どもが小さいことから読書を習慣させるメリットは大きいです。
一番わかりやすいのは、中学生が受ける模試です。
中1、中2のほとんどの子は国語は勉強せずに受けます。
それでも点数がとれる子、とれない子がはっきりわかれます。
これは読書の習慣があるかないかで決まるのです。
誤解していただきくないのは、試験の国語はあくまでもテストです。
解法があるので、読書の習慣があるなしだけでは決まりません。
ちゃんと正しい解法を習得すればテストの点はとれます。
ただ、それにしても大きな差がつくものだと感じます。
読解力があるないは、国語だけでなく他強化にも強く影響します。
英語といえども、ルールは日本語で覚えますからね。
教科書の知識が定着しやすくなる
わたしが読書を習慣化させてほしい理由は、他にもあります。
読書から習得した知識が、やがて学校の勉強と紐づく場面がでてきます。
例えば、星座の図鑑や好きな子は、理科の教科書を読む前からある程度は知ってるわけです。
つまり、事前に知識をもってるほうが、学校の授業に興味関心をもったり、成績が良くなりやすいということです。
ここでいう知識は、教養と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
読書で教養をふかめておけば、教科書との紐づけも簡単で勉強モードに入りやすくなるのです。
物語や説明文、図鑑をバランスよくふれる環境を作ってあげましょう。
電子書籍はどう?
本はスペースが必要になるので、電子書籍はどうかな?
と思う人もいるかもしれません。
初期段階にはおすすめしませんが、読書が習慣化してる子で
抵抗がない子なら問題ありません。
電子書籍の場合、そもそも端末のスイッチをおさないと始まりません。
それよりも本に囲まれていて、手にとればすぐ読める状態にしておいたほうが読書は習慣化しやすいです。
本を読むのが好きになった子の場合は、紙でも電子書籍でもかまいません。
ただ、紙のほうが好きという子もいますので、そこは感覚にあわせてあげてください。
置き場がないから電子書籍、、、という考え方はNGです。
読書してる姿を子どもにみせることが重要
子どもは親のマネをなんでもしたがります。
なので、本を読む姿を、子どもにみせるのが一番効果的なんです。
小学1年生のだんかいで、物事に関して好き嫌いがはっきりしてると思います。
なので、いきなり電車の図鑑を読ませようとしても、「キライ」ともなりかねません。
もちろん、好きなものから読ませると良いのですが、低学年のうちは幅広い分野にふれさせたほうが良いです。
好き嫌いが激しい子は、キライな分野の本を保護者がよんでる姿をみせてください。
そうすると、後ろからのぞいでくるようになります。
リアルの世界と結びつける
子どもが低学年のうちは、前頭葉が発達してないので「深い思考」や「表現」は厳しいです。
逆に知識を習得するのは、一番得意な時期(最終段階)です。
この時期に、教科書にでる言葉を先取りさせて覚えさせる手もありますが、わたしは必要ないと考えてます。
どんなに先に進めても、最終的にはおいつかれます。
それよりも、幅広い知識、教養にふれる機会を保護者があたえるほうが有益です。
一番はじめやすいのが「読書」です。
本でふれた知識を、実際にいかすチャンスを増やすことも重要です。
例えば、、、
- ライオンを図鑑でみて、気に入ってるようであれば動物園についていく
- 星座が好きであれば、星が見える場所にいったときに一緒に探してみる
- 植物が好きでああれば、公園に遊びにいって探してみる
- 戦国武将が好きなら、城跡を訪れてみる
どのぐらいまでならお金をだせるかは個人差があると思います。
お金をかけなくても出来ることもありますので、まずは知恵を絞ることが大事です。
本人があまり好きそうでもない習い事や塾に行かせるよりなら、その分を書籍代やリアル探索費にまわしたほうが、コスパは良いと思います。