小中学生の不登校*1の数は3年連続で右肩上がり、小学生にいたっては過去最高の27581名。小学生は237人に1人、中学生は35人に1人が不登校という状態です。
中学生だとクラスに1人はいる計算になります。他人事では済まされない数値ですよね。まずは現状を正確に把握することから始めてみましょう。
文部科学省が2016年10月27日に公開した不登校に関するデータ*2を見てみましょう。まずは小中学年別の不登校になっている子どもの数です。
1年:1334
2年:2099
3年:3302
4年:4782
5年:6969
6年:9095
合計:27,581名
中1:24783
中2:36258
中3:37387
合計:98,428名
小中学生ともに学年が上がるにつれて不登校の数が増えているのが分ります。
小学生の不登校が3年で急増
今回の調査で浮き彫りになったのは小学生の不登校が増えてることです。かつては中学生が常に10万を越えていたのですが、現状は9万台にまで減少してます。逆に人数こそ中学よりも少ないですが、小学生の不登校の上昇が3年連続で右肩上がりになっています。
・不登校児童数の推移
17年度:22,709(人)
18 :23,825
19 :23,927
20 :22,652
21 :22,327
22 :22,463
23 :22,622
24 :21,243
25 :24,175
26 :25,864
27 :27,581
いじめ、暴力行為数も増加中
小学校では暴力行為の増加も問題されており、特に小学1年と2年の件数増加が前年比1,8倍ということで目立ってきています。
問題の背景としては小学校に入学する前段階での集団生活に必要な素養を備わってないことがあげられています。ささいなことが原因で感情的な行動に走ってしまう子どもが増えています。
ふだんは温厚な子どもでも、いつキレるかわからないので親も暴力行為のあとに問題を認識する可能性が高いでしょう。
学校の管理下&管理外における暴力発生件数の推移
17年度: 2,176(件)
18 : 3,803
19 : 5,214
20 : 6,484
21 : 7,115
22 : 7,092
23 : 7,175
24 : 8,296
25 :10,896
26 :11,472
27 :17,137
学校の管理下における暴力発生件数の推移
17年度: 2,018(件)
18 : 3,494
19 : 4,807
20 : 5,996
21 : 6,600
22 : 6,579
23 : 6,646
24 : 7,542
25 :10,078
26 :10,609
27 :15,927
学年別加害児童生徒数
小1: 1,098 (944)
小2: 1,804 (1,637)
小3: 2,102 (1,926)
小4: 2,677 (2,432)
小5: 3,318 (3,047)
小6: 4,155 (3,851)
中1:11,213 (10,660)
中2:12,153 (11,456)
中3: 9,394 (8,904)
※( )内は男子
小学1,2年の暴力行為
小学生の不登校の原因のひとつに、「友人関係を巡るトラブル」というのがあります。ささいなことで暴力行為に走る子どもの増加と、不登校の関連性は強いでしょう。
しかし友人間のトラブルは原因のひとつにすぎません。不安や無気力などのほうが小学生の不登校の原因になりやすいです。
我が子を加害者にも被害者にもしないために親ができることは何かを考えてみましょう。
勉強とは知識の習得だけにあらず
核家族化がすすむ中で子どもに集団生活をさせることは厳しいです。兄弟にもまれながら集団生活への耐性をつけるのは難しい。
じゃあ、サッカーや野球などスポーツを通して集団生活に馴染ませるという方法はどうでしょうか?これはひとつの手段としては有効でしょう。
しかし運動が嫌いな子もいるでしょう。女の子が参加できる集団スポーツの数も少ないですよね。
そこでおすすめなのは「勉強」を通して訓練することです。勉強はたんに知識をつけるだけのものではありません。
競争することで自分を客観的にみる力をつけることができます。目標を決めて努力するうちに「やり抜く力」「我慢する力」も培われます。
本を読むことで、疑似体験できることも見逃せません。人間は本を読むことで自分以外の人生を体験することができます。相手の気持ちになることも本で学べます。
☓を怖がられせない。
特に小学校低学年の子どもは☓がつくのを嫌います。間違えるとすぐに消しゴムを使います。自分が間違えたことを認めることも大切です。人は間違えるからこそ進歩できるのです。これは脳と記憶の関係からでも、自分を客観的にみる力をつける点からも言えます。
間違えないと脳は記憶しないことを説明した記事がありますので、興味のある人はご覧ください。
自分は完璧な人間ではないことを知ることで、向上心がうまれます。☓を消しゴムで消して◯をつけてるだけでは進歩しません。脳はできてると錯覚するので、間違えたことすら記憶してくれません。
自分の間違いを認められないということは、他人を認めることもできません。つまり常に自分が1位でないと気がすまない。自分が90点で友だちが100点だとしても、現実を受け入れることができない子どもになるわけです。
鳥のように空から第三者として自分を見る力を子どもにつけないといけません。他人を認める力こそ集団行動では必要になるからです。自分を客観的にみる力があれば、仮にキレそうになっても、第三者目線で「キレたら周囲はどう反応するか」と冷静に判断できるでしょう。
子どもを競争から遠ざけない
かつて運動会での順位づけはダメということで、一斉にゴールするまかふしぎな教育が話題となりました。
お母さんやお父さんが小学生のころの通知表と、今のものは違っていませんか?かつてはABCで評価されてませんでしたか?中学校ではテストの成績優秀者を公開したりしましたが、今はしません。
自分との戦いを強調したけっか、他人との競争を極度にさける教育になってしまいました。これにより競争=悪とのレッテルははられてたのです。本当にそうでしょうか?
競争なくして他人を認める力は育ちません。努力しても報われないこともあるという事実を伝えることもできません。そういう意味ではスポーツは分かりやすいです。勝者と敗者がハッキリするからです。負けを知らずして成長はできません。
負けた悔しさを知っているから、勝ったときに負けた人に手を差し出せるのではないでしょうか?もしくは勝者が敗者にかける声はないと相手を思いやれるのではないでしょうか?
非認知能力を高める
非認知能力*3とはテストで測れない部分のことです。忍耐力や自己認識、意欲、自制心、創造性に性格、など幅広い能力を指します。これらの力は子どもが小さいときに大枠は決まってしまうと考えられていました。
しかし心理学の実験などで、大人になってからでも教育やトレーニングで伸ばせる力があることが分かっています。つまり幼児期を終えている小学生でも十分に対応できるということです。
自制心は筋トレのように鍛えることができる
中でも自制心は、日課をこなすだけでも強化できることが「マシュマロ実験*4」により分かっています。例えば「猫背にならないように1日1回姿勢を気にしなさい」という課題を親が子どもに与えたとします。そして子どもがその通り日課をこなしたとします。それだけでも自制心は育つのです。スポーツをさせないと無理と諦める必要はありません。
このほかにも学習記録を手帳やノートで計画、実行、反省、改善しながら管理することも有効です。自制心を強化することで、ささいなことで感情的にならないように、そして無気力にならないようにできる可能性が高まります。
子どもの成績が悪いとスポーツをやめさせようかな?と悩むこともあるでしょう。非認知能力を高めるうえでクラブ活動や部活動は有益だとわたしは考えます。学習時間がとれないほど熱心な場合は困りますが。
まとめ
今回は不登校や暴力行為の予防として勉強で自制心や忍耐力などを鍛えるという観点から話しました。不登校の原因は多岐にわたります。不登校の子どもが勉強してないと言いたいわけではありません。m(__)m
以上、小学生の不登校は2万7千人を突破!低学年の暴力行為が増加中のいま、予防のために親ができることは子どもに勉強させることです。という話題でした。
*1:「不登校」とは,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,「病気」や「経済的理由」による者を除く。)。
*3:非認知能力は学歴や年収にも影響し、子どもを成功に導く力と言われ注目されています。
*4:コロンビア大学の心理学者ミシェル教授による実験。マシュマロ1個を子どもの目の前におき、「いつ食べてもいいけど大人が部屋に戻るまで我慢できたらもう1個食べられますよ」と伝えておきます。ちなみに大人はいつ戻ってくるか分かりません。186人のうち3分の1の子どもが我慢してマシュマロを2個もらえました。その後の追跡調査により我慢できた子どものsatのスコアが我慢できなかった子よりも高いことを明らかにしました。
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